クモの巣

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Hさんが小学生の頃の話。

夏休みに、家族で田舎に帰った時のことだという。

Hさんは、実家の天井裏で探検ごっこをして遊んでいた。

埃まみれで天井裏を探検していると、何かが顔にかかった。

咄嗟にクモの巣だと思ったが、感覚が違う。

なぜか、湿っている。

振り払おうとしてつかむと、それは濡れた髪の毛の束だった。

「気持ち悪い!」Hさんはそう叫ぶと髪の毛を放り投げ、急いで天井裏から出た。

向かう先は、洗面所。濡れた顔と手を一刻も早く洗いたい。

やがて洗面所へと着いたHさんが鏡を見ると…そこには、赤黒い汚れがベッタリとついたHさんの顔が映っていたという。

Hさんは悲鳴を上げながらも、何度も何度も顔と手を洗ったのだそうだ。

「天井裏の錆びた水が髪の毛に染み込んでいたのだろうと思うんですが…でもあの感触や色味は、どうも血のように見えたんですよね…」

Hさんはそう語っている。

【怪談】【怖い話】

この記事の作者

田中一広

ホラーゲーム作家。企画・シナリオ・グラフィック・楽曲・プログラムまでトータルでゲームを作る一方、ライターや講師としてゲームを伝える。もちろんゲーマーとして遊びもする人生ゲーム漬け野郎。妖怪博士。株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

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