見たいものを見たいように見てしまう!人間の性(サガ)の怖さ「脱出ゲーム:ギフト」
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「人間は見たいものを見たいように見る」という言葉がある。
「そんなことはないよ!ボクは美女がカクテルを持って微笑む南国ビーチのような空間が見たいのに、窓に映るのは灰色のビル、電車はスーツを着たサラリーマンばかりじゃないか!うえーん、ばかばか!」なーんて思うかもしれないが、実際に「人間は見たいものを見たいように見」てしまう。
たとえば満員電車の中で、疲れて眠るサラリーマンを見た時、何を思うだろうか?
「こんなに疲れる働いて、凄く働き者だな…。ご苦労様です。体を壊さないでね」と思うだろうか。
それとも、「オメーが疲れてるのなんて知ったこっちゃねえよ!その席譲れボケが!このクソ野郎が!」と思うだろうか。
もし、前者のように思ったなら、あなたはその後、そのサラリーマンのことを「凄いお働き者」として見続けることになる。実際に働き者かどうかは別として。
もし、後者のように思ったなら、あなたはその後、そのサラリーマンのことを「席を譲ってくれないクソ野郎」として見続けることになる。実際にはとても優しい人で、いつもは席に座るような人じゃないのかもしれないのに。
つまり、我々は事実を見ているわけじゃなくて、自分の頭の中でこしらえた「きっと、こうに違いない」という思い込みに従ってものを見ているのだ。
これは、一歩間違えば怖いこと。
そんな恐怖を描いたのが、「脱出ゲーム/:ギフト」だ。
ココがWuah!「脱出ゲーム:ギフト」の魅力は怖いものから目をそらす怖さ
「脱出ゲーム:ギフト」は、昨日紹介した「脱出ゲーム:赤い女」と対をなす作品。
臭気漂うお便所が舞台だった「脱出ゲーム:赤い女」と異なり、本作の舞台はとってもキュートな女の子の部屋。見ているだけで甘いフルーツのような香りが漂ってきそうだ。
意を決して片思いの相手に告白した主人公が、念願かなって意中の女の子の部屋にあがることができた…というのが本作の設定。
一見怖くもなんともない…と思うかもしれない。
しかし、紛れもなく本作はホラーゲーム。徐々に徐々に、怖さが現れてくる。
舞台同様、「脱出ゲーム:赤い女」と180°真逆の方向を向いているのが、本作の怖さの質。
「赤い女」が描いていた怖さは、頭のイッちまってるストーカー/女の異常性。
一方で本作の怖さは、怖いものから目をそらそうとする被害者の心理だ。
そもそも人間って、「いつもと違うこと」をなかなか受け入れることができない。
たとえば、買い物にでかけたデパートで、いきなりサイレンが鳴り響いたとしよう。あなたは一瞬のサイレンを聴いた直後、即座に逃げ出すだろうか?
「何かの間違いだろ。そうそう避難指示とか起きないだろうし」なーんて聞き流してしまわないと言い切れるだろうか。
我々は普段の状況ですら、「頭の中で描いているいつもの日常」という思い込みをベースに行動する。
ましてやそれが、意中の女の子の部屋にはじめて入った時だったら?
ちょっと変な趣味を持っていたからって、部屋から出ていったりするだろうか?
「誰だって変わった趣味のひとつやふたつ、あるだろう」なーんて自分を言い聞かせてしまうのでは?
現実のその女の子ではなく、自分が見たい理想の女の子像を優先してしまうのでは?
そして、そうやって現実から目をそらしている内に、引き返せなくなっている──そんな恐怖が、本作で描かれる恐怖なのだ。
ゲームシステムはオーソドックスな脱出ゲーム
ゲームシステムとしては、「脱出ゲーム:赤い女」同様、オーソドックスな脱出ゲーム。
背景をタップして手掛かりを探し、謎を解いていく。
「脱出ゲーム:赤い女」をプレイしていれば、特にひっかかることもなく、すんなりプレイできるだろう。
是非、「脱出ゲーム:赤い女」をプレイした後に本作をプレイしてほしい。
基本情報
タイトル
脱出ゲーム:ギフト
デベロッパー
EDGES LLC.
配信会社
EDGES LLC.
対応ハード
iOS/Android