人の脳が生み出す恐怖からは逃げられない!サバイバルホラー「サイコブレイク(The Evil Within)」 | Wuah!-[ワー!]-ホラーゲームメディア


人の脳が生み出す恐怖からは逃げられない!サバイバルホラー「サイコブレイク(The Evil Within)」

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明治時代に書かれた三遊亭圓朝の怪談「真景累ヶ淵」の冒頭には、「幽霊やお化けは人の神経が見せるもの」というくだりがある。

神経。現代寄りに言い換えるなら、脳。

幽霊やお化けというのは、それを目撃している人の脳内にだけ存在する幻。つまりは幻覚。

だから、「最近は怪談を怖がる人が減った」というのが「真景累ヶ淵」の冒頭だ。現代じゃない。明治時代の話だ。

「幻覚」という概念が行き渡った現在なら、なおさら怖さを感じる人も少なくなったのではないだろうか。

ところが、脳が見せる幻は、脳が見せるからこそ怖い

それを教えてくれるゲームが、「サイコブレイク(The Evil Within)」だ。

目次

ココがWuah!「サイコブレイク(The Evil Within)」の怖さは、脳が見せる逃げ場のない怖さ

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「サイコブレイク(The Evil Within)」は、「バイオハザード」を開発した三上真司によるサバイバルホラーゲーム。

主人公の刑事・セバスチャンとして狂気・恐怖に立ち向かっていく…という内容だ。

本作、リリースされたのが5年前ということもあり、この記事は遠慮せずネタバレから入らせてもらう。

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本作でセバスチャンが立ち向かう狂気・恐怖というのは、人間の脳の見せる狂気・恐怖だ。

「サイコブレイク(The Evil Within)」の舞台は、STEMと呼ばれる装置が見せる共同幻想の世界。

STEMは、ひらたく言えば、複数の人間の精神をつなぎ込み、仮想世界を作り上げる装置なのだ。

このため、セバスチャンが見ているもの、感じているものは、STEMに取り込まれた人間達の精神を反映させたものといえる。

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こうした設定があるので、本作のマップは、実に理不尽に姿を変える

先ほどまで道だった場所に壁ができる、壁だった所に扉ができる、気づくとまったく異なる場所にいる…なんてことが次から次に起こるのだ。

まるで、でも見ているかのようだが、夢もまた脳が見せている幻影

つまり、脳の見せる幻影が極めてリアルに表現されているということだ。

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悪夢といえば、どうして怖い夢は怖いのだろう?

この答えはカンタンで、脳が怖いという感情に基づいて映像を生み出しているからだ。

これが現実世界であれば、目で見たもの、聞いた音に応じて脳が恐怖を感じる。

しかし、夢はこの逆**。脳が見せているもの。ということはつまり、そもそも脳が怖いと感じて映像を見せているこということになるはず。

となるとこれは、逃げようがない。脳が=自分が、「怖い」と思うものを出すので、「怖くない」と思うことなど、ハナからできないのだ。

脳が見せる幻は、脳が見せるからこそ怖いと書いたのはこのため。

本作でもセバスチャンは、STEMが見せる幻覚に、なすすべもなく翻弄されていく。逃れるすべがない。

この怖さ…直接ビジュアル表現されているわけではないこの怖さこそ、本作ならではの恐怖ではないかとオレは考えている。

こう考えると、日本版タイトルである「サイコブレイク(精神崩壊)」も、海外版タイトルである「The Evil Within(恐怖が内在している)」も、実にピッタリなタイトルだ。

狂気に抗う精神力!アガニクロスボウ

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本作は、これまでのホラーゲームの要素の組み合わせだという意見がある。

確かに、基本的な部分は「バイオハザード4」を引き継いでいるし、倒した敵に火を点けて完全に殺す要素はリメイク版「バイオハザード1」のクリムゾンヘッド。敵から身を隠すステルス要素は「ラスト・オブ・アス」のようだ。

そんな中で本作ならではの要素といえるのが、「アガニクロスボウ」だろう。

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アガニクロスボウは、その名の通りクロスボウで、様々な効果を持った弾頭を発射することが可能。

この弾頭は、マップに設置されたトラップを分解することで手に入るパーツを消費して作成する。

ゲームシステム的に単純に見れば、ミニゲームによるトラップ解除で弾が稼げる、サイコブレイク版グレネードランチャーに過ぎない。

しかし、ストーリーと結びつけて解釈すると、アガニクロスボウは、他の人の精神が反映されたSTEM世界の一部を分解し、再構築したものとみなせる。

人の脳が生み出した狂気の世界でサバイバルするために、人の狂気を解体し、主人公自身の力として再構築する…。狂気に抗うタフな精神を現しているようだ。

恐怖に取り込むか、恐怖を取り込むのか…。こんな視点で「サイコブレイク」をプレイし直してみると、また異なる味わいがあるんじゃないだろうか。

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ちなみにサイコブレイクは発売当初、画面上下に黒い帯が表示されることが不評だった。

しかし後のアップデートによってこの黒い帯は非表示にすることが可能だ。

5年を経過し、完結編といえる続編が発売された後である今、あらためてプレイする価値のある作品ではないだろうか。

様々な人間の狂気の溶け込んだ世界。今プレイすると、まるでSNSの暗黒面のような恐怖を感じさせてくれるはずだ。

PC版

PS4版

XboxOne版

基本情報

タイトル

サイコブレイク(The Evil Within)

デベロッパー

Tango Gameworks

配信会社

Bethesda Softworks

対応ハード

PC/PS4

価格

Steam

2,200円

PS4

7,884円

XboxOne

7,884円

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執筆者プロフィール

田中一広

ホラーに特化してゲームを作るインディゲームクリエイター。妖怪博士。

インディゲームデベロッパー株式会社Wuah!地獄の代表取締役。

ホラーゲームをこよなく愛する妖怪博士であり、元バーテンダー、専門学校講師といった異色の経歴を持つ。

ゲーム制作以外にも、ゲームメディアでライターとして定期的に執筆。

ホラーゲームメディアWuah!、ホラーゲームサイトWuah!Games運営中。

Twitterアカウント

@Kazhiro

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